2017年11月25日

We love ふくしま in 関西を終えて(ブログ その119)

We love ふくしま in 関西「私はわたし、きれいは自信、自分を輝かせる化粧を学ぶ」を開催しました。総勢19人!

本日の会合は、総勢子供も含めると19人(子ども5人・大人14人)で、にぎやかな会となりました。お疲れ様でした。初々しい2人の大学1年生、福島から避難した当時はちょうど高校入学の年、京都や滋賀の高校に入るのに苦労されたと聞きました。でも2人とも避難地の高校の対応がよく、理解があり特別のケースとして受け入れてくださったのは、何よりでした。こうした困難にもめげず、頑張って大学入試に取り組み念願の大学に入学できたのですから、その努力に拍手を送りたいですね。そして無事、昨年(2014年)4月、大学の1年生になりました。このうちのお一人京都の高校生だった方は、私達の放射線の勉強会にも出てきて、自ら放射線についての科学的な理解をして、「吹っ切れた」といって勉強に取り組んだと聞いています。お母さんが私達の事務所がちょうど大学内から、このホワイトハウスに引っ越すころでしたが、そのころ、不用品の中にみつけた電気スタンドをみて、「これいらないのなら娘の勉強机にもらえますか」といわれたのを思い出します。何もかも不便だったはず、こうして困難を乗り越えられたことに、思わず涙ぐんだものです。合格されたときには、電話を下さり、ほんとにうれしかったです。

この新しい出発を祝福して、大人になった今、「ちょっとはおしゃれをしてくれないかな」というお母さんの願いもこめて、親と子で一緒にきれいになる会を計画しました。宇野さんにずっと、福島支援で協力されているナリス化粧品会社が、今回も協力してくださいました。このいきさつは宇野さんに語ってもらうことにして、ここでは、当日の様子をお伝えします。

まずは、私から「どうして、こういう会を企画したか」挨拶代わりにお話ししました。ナリス化粧品会社の本社は大阪市福島区にあります。海外にも輸出していたナリスに、福島の事故後、「放射線量を測って安全を確かめてほしい」という外国からの要請が舞い込んだのです。大阪なのですが、福島区にあるので、その住所を海外から見ると区別できなかったので、同じ場所に見えたのでしょう。当時はこうした混乱の中で、いろいろな行き違いがあったのです。そんな縁で、宇野さんは、それまで化粧療法でナリスと提携して研究を進められていたので、ガイガーカウンターを宇野さんが持ってこられて一緒にそのあたりを調査したことを思い出します。こうして、宇野さんを通じて、ナリスの方々と共通の放射線問題でつながりました。ちょうど私たちも放射線の勉強を始めていたときでした。それから、ナリスの谷さんという実行力のある方が、福島支援プロジェクト(心人プロジェクト)を立ち上げられたのでした。その谷さんはいわゆる「リケジョ」で、そういう専門も生かして化粧の科学の勉強もされたということで、宇野さんと「化粧療法」の研究に取り組まれていたのです。

今日は、いろいろな困難な条件を抱える「女」たちが集まりました。子ども達は、2回で「サイエンスの楽しさの実験教室をしてくださり、そちらで楽しみました。ここでは、日ごろ、親子理科実験教室で活躍している常連の新宅君、降旗君、それに福田さんも研究の合間に顔を出してくれて、いろいろな小道具でサイエンスを楽しみました。「これ知っている」といわれ手、急遽(佐藤で別項雨を作る ※)といったりして大騒ぎでしたが、子供たちはすっかりなついて楽しみました。

※ 「砂糖でべっこう飴を作る」の誤変換

こうして、日ごろ日曜日は育児で時間を費やす大人たちは、子供の世話から離れて、自分のための時間を獲得して、きれいになる講習会に酸化したのです。そのなかで、福島のこと、放射線のこと、大学での生活のことなどなど、いろいろな話が出てきて交流できました。

私の話の次に、真打の谷さんが、いろいろ解説しながらお肌の手入れをするための道具をいっぱい持ってきて実習してくださいました。普段私たちが顔を洗ったりしていても、しっかり角質が取れていないことを実証する小道具もあり、みんな「え、私の肌はこんなに汚れているの?」とびっくりしました。そして、それをケアする方法を教わりました。谷さんの話は、結構理屈がはっきりしています。道具を使って、下に垂れている肌を引き上げるためのマッサージは、「ほんとに重力に逆らってそんなことができるのか」と疑問を持たないわけではありませんが、それでもどういう風にケアするのかは、興味深かったです。特に、マッサージによって、肌の「腫れぼったさ」を取り除くのだという説明に、血液循環をよくすることというのは、理屈がありますね。人間の体の中なんて、リモートコントロールと思っていましたが、外部からの刺激で、血液の循環をよくして、老廃物を流しやすくすることなのだという説明は、さもあり何、と思いました。だからストレッチだとか健康マッサージなどによる効果もあるのかもしれませんが、よくコツを知っていれば、簡単にケアできることもあるのだな、と思いました。私は(健康器具で歩いたりするぐらいなら、家の掃除をしたり、料理を作ったりして体を動かせばそれでいいのと違うの?)という疑問を持っていましたが、それも同じ理屈ですね。血液の循環をよくすることは、地球環境で言えば、廃棄物を処理したり、物質循環をスムーズにしたりする工夫と一緒ですね、家の掃除をする要領なので分かりやすかったですね。谷さんはそのあたり、理屈をはさみながら、指導されます。さすが、大学で講義も担当されているのですから、うまいものです。

その次のお化粧になると、実はもうちょっとむずかしい。顔のシミや毛穴を目立たないようにして、輪郭をはっきりさせるための色の選定や濃度の設定など、これは、好みと美的感覚に頼らざるを得ませんから、理屈だけではうまくいきません。若い2人の娘さんは見違えるようにきれいになって、初めの硬い表情は徐々にやわらかで明るい表情に変わっていきました。また、眉は、顔の額縁をつくるとかで、みんな谷さんにきれいに整形してもらいました。見ていると、見事に、顔の輪郭が変わる様子にびっくりです。

まあ、そんな色々な内容をこなしながら進行するのですが、興味深いのは、その場の皆さんの表情がだんだんやわらぎ、今まで打ち解けなかったみんなが、お互いに話ができる基盤をつくることでした。今回は女性研究者と避難者という今までお互いに知らなかった方々が、一緒になっているのですが、化粧は、いわばコミュニケーションの手段としての導入部をつくるのでは、と思います。だから、本当をいうと、化粧でも遊びでも何でもいいのですが、みんなが打ち解け、交流できる場が、こうして作られていくと、そこにいる人たちは、知らない間にリラックスして、交流できるようになるということです。特に、化粧のよさは、相手のきれいになっていく様子を、他人が「わあ、えらいきれいになったねえ」とか「この色の方がよくない?」とか、仲間の為に意見を言い合うのが、いいのではと思います。ゲームでは、時には敵味方になり相手を利するのではなく、逆に窮地に追い込むことが多いわけですが、お化粧では、お互いに相手にアドバイスしたり感想を述べたりするのが、きっといい雰囲気をつくるのでしょう。終わるころには、すっかりみんな仲良しになります。

特に、お母さんたちは皆、楽しそうでした。付き添いでこられた滋賀県内避難者の会のリーダである佐藤さんは、参加者の中の唯一の男性ですが、「この様子の写真を見たらみんな来たくなるだろうな」とおっしゃっていました。

3月11日が来ると震災後、4年目となります。滋賀でも京都でも沢山のイベントが重なっている中、皆さんこの会にも顔を出して下さったのです。添付のように「震災避難初体験」を企画した行事が3月7日には開かれます。佐藤さんもすっかり女性研究者たちとも仲良しになって、今取り組んでいる企画の説明に熱が入ります。

「みんな、避難所には布団やストーブや、いろいろな道具がそろっていると思っているけど、違うんですよ。最初は、ブルーシートだけがある広い板の間から出発して、生活できるように、自ら整えていくんです」と話されました。テレビなどだけ見ていると、こういうことは分かりません。「生きる力」「みんなでやり協力する心」そういういろいろなものが混然と一体になって、生活の場を作り上げていくのです。こんな体験をしておくと、きっと、したたかに生きる力を養うことができるでしょうね。

福島の方と、女性研究者の交流は思いもかけないネットワークの広がりを見せました。特に、王さんは、とても好奇心のあふれるエネルギーの塊のような人でした。「こんな集まりもできるんですね」と真っ先に参加申し込をされた方です。お子様2人もとても元気で、終了後も、サイエンスの指導をしてくれた新宅君と3人で、夜の9時過ぎまでおしゃべりに花が咲きました。福島のこと、異文化交流のこと、平和教育、科学者のあり方など、しゃべり続けました。

「いつも子供の世話で自分の時間を持ったことがなかったが、今日は自分だけのための時間に巡り合えて、とても楽しかった」と言われる方もいて、なるほどこれこそ、ほんとのプレゼントだなと思いました。

王さんがさっそく感想を書いてくださいました。それをみて、この企画が、福島からの避難者と女性研究者との交流の場として、また、同じ「生きにくさ」をもつ者同士の理解を深める場として機能したことに、私はとても感銘を受けました。

そして、それはまた、「移民」の問題とも共通点があり、「生活の場」「コミュニケーションの場」としての生活空間をどのように形成し、そこに発生する異文化交流やいきづらさの共有など、人と人とを結び付け、元気をくれるのだということを、実感しました。

王さんの研究課題とも結びつくので、これからこうした企画を通して、その成果をどのように分析していくかという課題が生まれました。これは、王さんの学問的意欲とも重なるのだということを発見しました。

詳しくは、こちらの報告をご覧ください。