2017年06月24日

LDMセミナー>医療と放射線

日  時:2012年6月9日(土) 10:30~
場  所:可視化実験室
テ ー マ:医療と放射線  中山昌彦(京都中央診療所・兵庫青野原病院)


中山昌彦先生は京都府立医科大学出身(昭和38年卒)で、長らく京都第一赤十字病院呼吸器科で肺癌を始めとして、呼吸器疾患の患者治療にあたってこられました。今回は、医療の現場で診断や治療に使われている放射線についてご紹介していただきます。また、医師という立場から発癌や放射能のリスク、避難に対する考え方なども、伺えるものと思います。

低線量放射線の評価・・医者の立場から    中山昌彦

京都中央診療所 内科
兵庫青野原病院 内科

福島原発事故以来、放射能汚染が大問題になっています。年間100ミリシーベルト以下の低線量での発癌リスクや遺伝子の突然変異は皆無ではありませんが、放射線以外の原因による疾病や死亡のリスクに比べると非常に小さいもので問題視する必要性はありません。広島、長崎およびチェルノブイリでも100ミリシーベルト以下での有害作用は証明されていません。白血球の減少をもたらす急性被曝線量は250ミリシーベルト、半数の人が死亡する急性全身被曝線量は3~5シーベルトとされています。医療の世界では放射線は広く使われています。胃レントゲン4ミリシーベルト、CT検査は7~20ミリシーベルト、透視下で行われるカテーテル検査や治療では500~1000ミリシーベルトになることもあります。骨髄移植の前の全身照射では12シーベルト(12000ミリシーベルト)で骨髄の細胞はいったんすべて死滅します。しかし骨髄移植をすれば元に戻ります。骨髄以外の身体の構成細胞については、一部は障害されますがすべて自力で再生します。肺癌の放射線治療では1回2シーベルトを30回、60シーベルトで癌細胞をなんとか殺すことができますが再発することも少なくありません。細胞は放射線にかなり強いのです。DNAが傷ついた細胞は死滅しますが、周りの細胞が再生して治ります。人体は約60兆個の細胞が常々細胞死と再生を繰り返していることで約80年もの寿命を保っているのです。照射される容積の多寡で放射線の影響の程度は変わりますが、肺癌放射線治療が成功した場合周辺の肺組織は線維化し発赤した皮膚の炎症は色素沈着を残しますが、時間とともに回復します。熱傷の経過と同じことです。

医療で使われている放射線と比較して年間被爆5ミリシーベルトや1ミリシーベルト以下を目指して作られた環境や食品に対する暫定基準値は必要以上に厳しすぎると考えられます。水や牛乳の放射能の暫定基準値は1リットルあたり300ベクレル以下とされていますが、日常食べているバナナ1kgには304ベクレルの放射性カリウムが含まれています。主な内部被曝源として人体には体重の約0.2%の放射性カリウム(カリウム40)が含まれていると言われており、これは60kgの人で約4000ベクレルに相当します。また放射性炭素(炭素14)も2500ベクレル持っています。

甲状腺の検査や治療で使われる放射性ヨウ素のカプセルは最少925キロベクレルから最大1.85ギガベクレルまであります。医療では暫定基準値の3千倍から6億倍の放射能が内服で使われているのです。医療目的での放射線被曝量について法的な制限はありません。患者さんの得られる利益が放射線被曝の不利益より大きいと判断することを使用の前提としているからですが、暫定基準値よりはるかに大きい放射線が保険診療でほゞ安全に使われています。

地球はすでに約2000発の原水爆実験で汚染されています。今回の事故がなくても日本人は食品から年間0.2ミリシーベルト、環境から2.4ミリシーベルト被曝しています。中国広東省陽江県の自然放射線は1年間の6.4ミリシーベルト、ブラジル・ガラパリでは10ミリシーベルトですが有意な放射線障害は証明されていません。

最近、福島の魚の放射線を1kg50ベクレル以下でないと出荷しないことにして、測定をはじめたとのニュースがありました。測定器には分厚い鉛の扉がついていましたが、1kg50ベクレルというのは環境からの放射線の影響を厳重に除かないと計れないほど微量な放射線であることを意味しています。測定している人が被爆し続けている環境より少ない放射線を計測し規制するのは全くナンセンスなことです。地球上で飢えている人たちが多い中で厳しすぎる基準で食料を大量の廃棄してよいのでしょうか。

ダーウィンの進化論は突然変異と自然淘汰がもとになっています。トンビがタカを生み、サルから人間ができたのも自然放射線のお陰と言えなくもないのです。遺伝子の変異は絶えず起こっていて、新型インフルエンザが発生するのもそのためです。インフルエンザウイルスは遺伝子変異を繰り返して、人間や豚などの免疫機構からすり抜けて生存し続けているのです。

 東大児玉教授によると熱量換算29.6発、ウラン換算20発の広島原爆が漏れたとのことですが一人も熱傷で死んでいないし、急性放射線障害の患者も皆無です。広島はピカドンと一瞬に熱線が出たが、福島はゆっくり長い時間をかけて放出したため、熱傷者がいないということだろうと想像します。それなら福島全土に降り注ぐ太陽熱のほうがはるかに大きいはずなので、太陽熱何日分の熱量と説明すればよいことです。熱量の比較だけで広島原爆29.6発が独り歩きし、恐怖心をばらまくのはまさしく東大発の風評被害です。総量が大きくても希釈すれば有意な害は無くなります。ウラン換算では広島原爆20個分としても急性放射線障害の報告が皆無であることから、分散することで大した被害が出ていないと思われます。福島の瓦礫処理に東京や大阪が協力することに放射能を理由に反対する人間がいるのは利己主義丸出しで嘆かわしいことです。今こそ全国民が助け合わねばなりません。燃やした灰は放射能が濃縮され基準値を超えると騒いでいるが、たとえ放射能が基準より高くても放射能を含まない灰と混ぜて希釈して埋めればよいことです。希釈することが大切です。含まれる放射能より運搬するとき高速道路などに落とされる瓦礫による交通事故の方がよほど危険です。全国助け合って全国の港に船で一度に大量に運んで処理することこそ緊急に進めるべきです。

原発事故避難指示の基準について

1年間で20mSv(ミリシーベルト)を超える恐れがあることで避難指示がでました。20mSvでは短期に被爆しても人体には問題ありません。ましてや1年間の総計で20mSvではさらに安全です。薬も一度にまとめて飲めば危険ですが、一定の薬用量を続けると無害かつ有益な作用があるのと同じことです。放射能にもっとも弱いリンパ球や白血球の可逆性を考慮して2週間で200mSvになる環境まで居住を許可しても命には影響しません。避難を強制すれば、避難先でストレス、治療中断、環境悪化、運動不足や食事の悪化で病状悪化、死亡者が増加することになります。放射能のリスクと強制避難による生命リスクとを比較し、日本の現状に見合った合理的な基準を持つべきです。命を大切に考えるなら放射能の危険レベルを早急に見直すべきです。WHOなどが示している世界の基準は遊牧生活者も含めてすべての国に共通に適用される基準ですが、避難によって失うものが国によって大きく異なります。遊牧民ならパオ(移動式住所)を折りたたみ、羊の群れをつれて別の土地に移動することで、損失も少なく被爆を避けることができるでしょう。上下水道や電気やガスが完備された環境下で生活している日本では避難そのものが命の危険をもたらします。会社員、透析患者、人工呼吸器、在宅酸素療法中の患者、寝たきりや徘徊で要介護の患者さん、ペットと暮らしている老人など考えればきりがないほど移動困難者がいます。日本では酪農、養鶏,養豚などの業者もすぐには避難できません。子供は友達を失い、若者は仕事を失い、老人は命を失うことになります。強制避難は死亡者も含め失うものが大きすぎます。原発関連の死亡者は国内では過去東海村の臨界事故による2名のみであることを正しく認識すべきであると考えます。今の基準では放射能で命をなくする人は皆無でも、避難先で寿命を縮める人がますます増加します。日本では年間約3万人が不慮の事故で亡くなっています。放射能だけ特別視して恐れるあまり、他のもっと大きなリスクを忘れるのは大間違いであると知るべきです。