2017年06月28日

LDMセミナー>これからのエネルギー問題を考えるために

日  時:2012年5月28日(月) 10:30~12:30
場  所:可視化実験室
テ  ー  マ:これからのエネルギー問題を考えるために 金氏 顯(エネルギー問題に発言する会代表幹事)


私たちのセミナーは、「放射線は低線量でも怖い」と主張される科学コミュニケータの方、脱原発の意見をお持ちの方、宇宙太陽光発電に大変魅力を感じている人、再生可のエネルギーへの転換をすすめる人、色々な方々が、当セミナーでご一緒に議論しています。イデオロギーや価値観にとらわれず、いろいろな立場の方々と議論する機会を大切にしていきたいと思っています。
話題提供いただく金氏さんは、さる4月26日、「物理屋と原子力屋の自由討論会」という形で、お話いただきまいた。金氏氏との話し合いの中で、話が多すぎたため十分お聞きできなかった点を含めて、機会があればもういちど論点を整理して、お話願う機会があればと思っていました。このたび、京都ご訪問のついでにお話願うことになりました。

私たちの疑問の論点を艸場・坂東でまとめました。


金氏様

いろいろな情報を頂きありがとうございます。
ところで、現在、大飯原発の再稼働について、あるいは日本の原発ゼロの日を迎えていろいろな議論が出ておりますが、話が変な方向にそれてしまい、このままでは困ったことだと思っています。「この夏の電力が足りるか足りないか」といった問題が焦点になるのはどう考えてもおかしいと思います。今朝もテレビで(こういうホットな議論が起こると朝の時間帯のテレビ番組に注意をしてみてから、出かけることにしています)、「関電は足りない、足りないといっているがいったい福島事故があって1年もあるのに原発ゼロに向けて準備をしていなかったのか」とか言った論調で、例の前官僚上がりの古賀特別顧問などは、「足りないことを見せつけるために仕組んでいる」みたいな発言をしています。もっと冷静に考える方向へ持っていくべきところ、反対に煽り立てています。
まあ、いわば、原子力という生まれた赤ちゃんを、推進派はアメリカ任せでターンキー方式で安く上げようと、丁寧に育てず、反対派は、これまた、ちょっと病気したり事故が起こったりすると「それみろ、だからこんな子を産まなければよかったのだ。もう捨ててしまえ」という。この2つの狭間で、この生まれた赤ちゃんを悪い子にしてしまった、ともいえます。

「この夏、電力不足で大騒ぎになったら関電の勝ち」
「うまく乗り切れたら、脱原発の勝ち」

みたいな話になるのはまずいです。
そういう姿勢が丸見えの論争もあり、「関電がこんなつもりだから大騒ぎになったら関電が悪いのだ」というような風潮も出てきています。関電も、おそらく、何とか乗り切る道を模索しているはずですが、大岡裁きには、「迷子になった赤ん坊について、2人とも自分が母だと言い張っていたので、越前守は、赤ん坊の腕を双方の婦人がつかみ、引っ張り合いをして勝った方を真の母と認定すると決定する。しかし引っ張り合いが続くと赤ん坊は体がちぎれそうになって泣き叫ぶ。その声に一方の婦人は手を離してしまう。それを見て越前守は、子供が痛がる声に手を離した方こそ真の母親であると裁きを下す。」というのがありますが、この大岡みたいな人が増えないと困りますね。(どうももとはイソップ物語だとか聖書だとか言われているようですが)
そこで、今大切なこととして、金氏さんのご意見をぜひお伺いしたいと願っています。というのは、4月26日のあわただしい討論ではつくせない問題、特にエネルギー問題に関しては、いろいろと議論すべきところ、時間がありませんでした。そこで、その後いただいた議論も含めて論点を整理して、ぜひ意見交換できる機会があればと思っております。
 
<論点>
1) 今回の事故は、技術の問題というより、システム(マネジメント)の問題であり、指摘された不都合や問題点に耳を傾けようとしなかった原子力コミュニティの体質の問題であるという意見が聞かれます。特に民間事故調はそういう原子力コミュニティの問題を深刻に受け止めています。
これについてどうお考えですか?
2) 現在、再稼働すべきかどうかは、「電力がこの夏足りるか」という問題ではなく、今後どのように原子力エネルギーを活用していくかという問題であり、設備投資した原発が、もし安全性をしっかり見つめながら、人災も含めてシステム的に解決する具体的論点が整理されていない気がします。
抽象論では今役に立たないと思うのですが、この点について具体的な改善点を例えば大飯原発に限って整理できないでしょうか。あるいは改善策をお持ちですか。
3) 5月16日の共同通信配信のニュースによると、「経済産業省原子力安全・保安院と東京電力が2006年、想定外の津波が原発を襲った場合のトラブルに関する勉強会で、東電福島第1原発が津波に襲われれば、電源喪失する恐れがあるとの認識を共有していたことが15日、分かった」とあります。
今頃、こんなことがわかった、というのもげせない話です。これはすでに分かっていることかもしれませんが、電源喪失という点にのみ集中すれば、それほどコストがかからないで改善できたのではと思われます。コストが膨大にかかる堤防の話などはさておいて、電源の確保については、ちょっと電気事業に関係している方なら、例えば病院など停電ですぐ困る場合、津波から安全なところに電源を確保するっことは電気の供給を専門とする会社である東電にとってはそれほどコストがかからないような気がします。
素人考えですが。この辺りの事情を教えてください。
4) 関電ではこれまでに、同様の問題を含め、原発の安全性について指摘されていた問題があったのでしょうか。あるいは、これまで指摘されながら無視された問題があったのでしょうか。
上記の事情を考えると、これまでの指摘された点を洗い出す作業が大変重要だと思われます。これはすでに行われているのでしょうか?ご存知なら教えてください。こういうことをきちんと具体的に整理する事が、本当は大切なように思うのですが、いかがですか?
5) より将来的なことを言うと、再生可能エネルギーの実力は、最大でもドイツの20%大程度だということだという主張があります。
これは日本にとってはまだまだ実現がこれからにかかっているとはいえ、ドイツでは少なくとも10年はかかっていることは事実です。そうすると、この通りだとして、では、原子力による発電は今の水準を維持できるのでしょうか?
たとえば、老朽化、使用済み燃料などの課題をどのように考えておられますか。実は、私は、今回の事故がなくても、使用済み核廃棄物の問題を「放置したまま、原発が推進されたことは、致命的であると思っています。
6) 北澤氏は、原発なしのエネルギー未来像を描かれています。
しかし、今回の京都訪問で、科学カフェで講演され、エネルギー問題について、「再生可能エネルギーで電力が賄えるか、原発なしで可能か」といった問題では、決して当面それが可能だとは思っておられないと思いました。ドイツの例を見ても、この10年、無理して頑張ってきたが、かなりトーンダウンですね。
ただ、北澤氏は「ドイツレベルまでは到達する価値がある」といわれます。送電技術・蓄電技術がここでは決定的な役割を果たすことも事実ですね。このあたり、もっとしっかりした議論が必要です。
 
以上、とりあえず、まとめてみました。

これに対して、「頂きましたご質問へは口頭だけではなく資料で説明したほうがいいものは適当な資料を用意したいと思います。パワーポイントをプロジェクターでスクリーンに映します。」という金氏氏からのお返事を頂いています。