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もうひとつの福島ノーベル賞ー京都大学原子炉実験所での検査に向けて勉強会を始めました!

以下の記事は、(株) 東京電力福島第一原発事故による避難者の医療に係わる協力依頼 に対するその後の状況報告です。

1.京都大学からのお返事

さる10月11日、京都大学原子炉実験所安全管理本部長の高橋千太郎副所長から、メールが届きました。そこには、次のようなメッセージがありました。

「避難されておられる方の、ホールボディカウンターによる測定をご希望とお聞きしました。管理用の機器であり、共同利用・共用は原則行っておりませんが、研究上有用なデータが得られる可能性もあり、当方の業務にさし障りの無い範囲でご協力させていただくことは可能です。」

私たちが京大総長に要望書「(株) 東京電力福島第一原発事故による避難者の医療に係わる協力依頼」を投函したのがその前の週末でした。京大当局にこの要望書が届くのとほぼ同時に、山中ノーベル賞のニュースが届きました(10月8日 19:00)。それからは京都大学は大騒ぎで、とても要望書に対応している余裕はないだろう、そう思っていたのです。
ノーベル医学生理学賞受賞が決まった京都大の山中伸弥先生(50)は、「社会に役立てるまでがゴール」であって、ノーベル賞が到達点ではなく、出発点なのだといわれました。色々な方に対する思いやりと決意が言わせたのかもしれませんが、何かほっとしたものを感じ、山中先生のこの発言は、さわやかな空気を周辺に与えました。本当に謙虚な方で、毎年のようにノーベル賞の候補に挙げられていたので、発表前になるとニュース取材にたくさんの人が大学に押しかけるのが常でしたが、昨年までは、「どうもお騒がせして済みません」と謝っておられたということです。
このうれしいニュースに紛れて、要望書が後回しになっても仕方ないかと思っていた矢先、この超多忙な中、松本総長が手際よく迅速に対応頂いたのには、とてもありがたく、感激しました。
私は、このニュースを当NPOのメーリングリストですぐに知らせました。

「みなさま!本日、京都大学原子炉実験所副所長、安全管理本部長、高橋千太郎先生からご連絡があり、「当方の業務にさし障りの無い範囲で、ご協力させていただくことは可能です」とお返事がありました。とてもありがたく思っています。詳しくはこれからのご相談となりますが、このささやかなNPOが少しでも福島からの避難者によりそう方向で協力ができそうなことに、とても良かったと思っています。大学当局の優しい対応を、会員のみなさまとともに感謝したいと思っています。とりあえず、会員の皆様にご報告です。」

2.もうひとつのノーベル賞

同時にすぐ、県外避難者の取りまとめをしておられる伊藤早苗さんに伝えました。伊藤さんからは、「京大総長の寛大な決断、本当に感謝します。ノーベル賞もすごいです。こんなに忙しい時期に私たちの気持ちを何より察してくれた事、私たち避難者にとっては、福島支援ノーベル賞であってほしいくらいです。一人一人の困ったことに親身になって支えて、東日本大震災を忘れず伝えて、これからの災害に対する防災意識と、言葉だけの絆ではなく、支え会う気持ちを大切にしていくのが、これからの安心した生活に繋がる。そんな思いで発足した『をむすび会』です。甚大な支援をしていただいている事は、福島県全体が元気の素になることは確かだと思います。ありがとうございます。」というお返事が来ました。
こうして、「みなさん、ご一緒に前進しましょう」という当初の思いが、この京大のご協力によって、全国で初の県外避難者の新しい支援の突破口となれば、と期待しています。

高橋千太郎先生のお話では、「事故直後に福島市周辺の避難所の放射能汚染のスクリーニング(避難者の汚染チェック)に派遣したもの当実験所の職員に対しては、内部被ばくが無視できる程度に低いこと(Cs-137の検出限界500Bq程度)を証明するために、一人10分の測定を行っております。ご予定をお立てになる際の参考になさってください。」とのことでした。
福島在住の方々のひらた中央病院での検査結果がすでに公表されていることも、福島県立医大の方から教えていただいきました。

3.福島おひさまネットワーク(FON)

現在、日程・人数、送迎方法、出てきたデータに関しての説明・シビアな結果出たときの対応、原子炉のホールボディカウンターが出せるデータの詳細など、打ち合わせ・相談を開始しています。
高橋先生からは、「特定の団体への支援ということは当実験所としては行っておりません。放射線安全管理の面から今回の測定は研究としても重要と思われますので、ご協力させていただくものです。」というコメントと共に、丁寧にいろいろな状況を説明いただいております。また、避難者の方との相談会も全員集まって、熱心に議論をしています。

私どもは上記の趣旨を理解した上で、これから、避難者・市民・科学者が協力して、福島事故後の放射線被曝の現状やホールボディカウンターの勉強、またそれで何がわかるのか、などを手分けしてまとめようと、相談をしています。
すでに、10月31日には第1回の勉強準備会を開き、「福島おひさまネットワーク(FON)」を結成しました。お日様のように光をみずからだしながら、ネットワークを広げていきたいという意味です(ちょっと話が大きすぎますか?)。ネットワークの世話人は、伊藤早苗 菅野民江(福島県外避難者世話人)・土田理恵子(市民 主婦) 艸場よしみ(市民 おかあさん)・一瀬昌嗣(原子核物理学者 若手・宇野賀津子(免疫学研究者)・坂東昌子(NPO法人 あいんしゅたいん)です。
なにしろ、初の県外避難者の検査になるので、京都の各地域に在住する避難者グループのまとめ役の方に行ってもらい、研究に資するように協力することとし、また、その成果を仲間たちに説明していく先発チームとなるようにしたいと考えています。そのために、みなさんに説明できるよう事前に勉強することとしました。自分たちのデータを取ることによって、過去、現在、未来をつなぐ時間的変化の比較、さらに、福島以外の方々の測定値と比較することによって、空間的変化の比較をきちんと確認したい、と願っています。

4.これからのスケジュール

10月17日(水)第1回準備会 打ち合わせと勉強会(済) 内容:ホールボディーカウンター内容説明と内部被ばくに関する勉強会
10月31日(水)第2回準備会 打ち合わせと勉強会(済) 内容:高橋先生からいただいた資料をもとに具体的勉強 FONの結成
11月16日(金)10時30分から 検査する被災者6名とともに勉強会(LDMセミナーとして開催)
11月28・29日のいずれかに、30日のためのまとめ作業
11月30日(金)ミニマイクロバスで原子炉実験所に移動 この日、待ち時間に全員で勉強会

5.11月30日の検査日のスケジュール(案)

高橋先生にお願いしていた当日の控室については、10:00~12:00 図書棟会議室(やや大きな会議室)
12:00~17:00(研究棟会議室、小さいですが、測定装置に近い会議室を予約しました。)

どいうお返事を頂きました。高橋先生のサジェスチョンも考慮して、次のような案を考えています。

<当日スケジュール案>

10:20~10:45 到着
構内立ち入り手続・図書棟会議室へ
休憩
10:45~11:30 放射線・放射能・放射線測定の原理、今回の測定装置などについて説明
サーベイメータを使った簡単な実習(原子炉側のご提供)
11:30~12:00 ホールボディカウンターを全員で見学、装置の概要説明など
・・・研究棟会議室へ移動・・・
12:00 測定開始(10分測定ですが、着替えていただく必要があるので、一人20分はみておく必要があるかと思います。測定をされない方は、お昼ご飯をとっていただく。なお、食堂はありませんので、ご持参ください、あるいは近くのコンビニでかお買い求めになっていただく)

● この間、順次、測定データの整理とプリントアウトができると思いますので、お渡ししてご質問に答えます(もっとも、すべてネガティブデータと思いますので、測って何もなかったですというご説明だけになってしまうかと思いますが…)
● この時間を使って、ホールボディカウンター検査についての勉強会を行う。時には、原子炉実験所のスタッフの方にも質問できる。それぞれがテーマを担当して、順番を決めて皆さんに説明する。(ここの担当は、後程詳細をきめます。)
15:30~ 測定終了・質疑応答
16:30 実験所出発

6.費用について

検査当日の集合場所から検査場所までの移動手段は検討中ですが、ミニマイクロバスを借りての移動を考えています。NPOあいんしゅたいんでは、この費用を中西基金から用意することになります。NPOは貧乏ですが、寄付いただいた中西基金を有意義な活動に使うことになっており、この一部を今回使わせていただくことを理事会で決定しました。

7.新たな未来を創るために

今回のホールボディカウンター検査の趣旨は、あくまで「研究用」として検査するということです。ノーベル賞を受賞された山中先生もおっしゃるように、研究を発展させることは、健康を守るための大きな力になります。私たちの勉強会もまた、そのために必要な貴重なデータとなるように、願っています。

高橋先生は、「一般の方にホールボディカウンターでの測定を行う場合に、どのような点に注意すべきかという、放射線管理学のテーマに関して知見を得ておきたい」とおっしゃっています。今後、こういう検査を全国の不安を持った避難者の方々に広げていくためには、こうした放射線管理学の課題もあるのだと認識しました。

その昔、私が若い研究者だったとき、京都大学に保育所を作って欲しいと、女性研究者が京都大学で働く職員・教員など様々な方々とネットワークを作り、京大に働きかけました。その結果、京大教育学部の「乳幼児観察施設」として、この大学に保育所ができたのです。たくさんの方々が協力してくださいました。このように、様々な立場から京大保育所設立に関わったおかげで、この保育所が集団保育の実践の場となり、プロの研究者、保育者、父母が協力して作り上げる勉強会とも連携して、保育理論の発展に寄与しました。そして、保育理論の全国的リーダーとして活躍し、ここで出されたテキストは今でも、保育にかかわる大学の教科書として使われているのです。

大学が、豊かな実践の場と連動して、叡智を結集し、社会とつながりつつ新しい学問のあり方を示した1つの例でした。

この経験を懐かしく思い出しながら、今度もまた、新しく芽生えた物理学・生物学、そして社会復興を願うリスクコミュニケーションの実践の場として、新たな未来を築く礎になればいいな、そんなことを夢見ています。

福島おひさまネットワークに、皆さんの熱い思いを託して、ごいっしょに、あゆみましょう!

当NPOでは、さる9月15日、避難者で開かれた「放射能勉強会」に、一瀬・土田・艸場・坂東が出席し、私たちがずっと勉強してきた知識を総動員して、避難者の疑問に答え、一緒に考える会で交流を深めました。一瀬さんのリサーチ力で、たいていの質問にぴったりのデータが示され、放射線の性質やその振る舞いについてよく勉強され素朴な疑問をいつもぶつけながら勉強をしっかりとなさっている土田さんと艸場さんが受け止めてと、皆さんの質問に答えながら避難者の皆さんのお気持ちを理解しながら説明されました。ですので、坂東は、みなさんのその姿を感心しながら眺めていたようなものでした。

この時の伊藤早苗さんの感想がブログに出ています

11月30日に向けて、たくさんのことを勉強して、皆様にお届けできるように、そしてこの勉強会が明日を照らす力になりますように、皆さんと協力して取り組みたいと心から願っています。勉強会に参加したい方はご遠慮なく、お声をかけてください。

世話人一同を代表して  坂東昌子

 

世話人:伊藤早苗・菅野民江(福島県外避難者世話人)
    土田理恵子(市民 主婦)
    艸場よしみ(市民 おかあさん)
    一瀬昌嗣(原子核物理学者)
    宇野賀津子(免疫学研究者)

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